■ 定型パターンについて92018.4.14

いろいろ仕事が停滞して早く結論を言いたいとあせりながら性分でくどくど回り道をしています。我慢できないので執筆中の別の原稿を「盗用」します。早急に削除するかも知れません。無責任だと思いつつ・・・以下です。

 ここまでの議論において、臨床で認めることができる範囲での片麻痺特有とされる姿勢と運動の定型的なパターンが、形態のみならず姿勢を保持する力学的な関係においても健常者に認められる姿勢緊張の非対称性に極めて類似していることを確認してきた。しかも健常者の非対称性には単なる偶然的な結果とは思えない姿勢戦略上の意義も認めることができるのだ。
 私は人間の身体機能における特殊性(優位性)は内在する柔軟性にあるのであって、そのことによって運動形態の多様性を限りなく広げる可能性を獲得したと考えている。もちろん姿勢制御の高度化が備わってのことだ。健常者に認められる定型パターンはその効率的な遂行に必要な要素として、それだからこそ制御可能な運動制限として形成されていると考えられた。そして内面的にも複雑化した人間の運動行動をそれなりに継続する上での身体的な基準、身体軸としての機能も想定できた。
 つまり健常者に認められる姿勢や運動の定型的な非対称性は、運動行動の効率や精度を維持するという目的をもった姿勢戦略であり、それゆえに柔軟に変化するという特性がある。
それに対し片麻痺に限らず腰痛、変形性膝関節症、変形性股関節症、あるいは骨折など外傷後の後遺症においても、定型的パターンのさらなる強化が認められる。身体機能に何らかの障害をきたしている場合、いずれにしてもその臨床象を観察する限りにおいてはこのように定型的な姿勢緊張を亢進させることによって損傷側や部位を防御的に固定しているものと考えられるのだ。
 ここで、おそらく中枢性疾患と運動器由来の機能障害とを同列視することに異論やためらいが生じるであろうということは承知している。しかし、障害像の中に認められる多数の現象間には、本書で多数紹介しているように、当然それなりの相互関係(例えば力学的な因果関係)が内在しているのであって、そこに浮かび上がる仮説をもとに臨床の運動療法は行われるはずなのであるから、その場における検証を根拠に治療を進行させていくことこそが最善ではないかと考えている。そして、先の結論は経験を積み重ねていく中で生まれてきたものだ。
 私は経験則の限界は承知の上で、さらに片麻痺者の抱えている問題の考察を進めたい。


CGI-design