■ 定型パターンについて32018.1.24

健常者における姿勢緊張の定型性にも、2でお話しした内容と関連する現象を認めることができます。

前にもお話ししたことがあるかと思うのですが、そもそも健常者のバンザイを確認する限り必ずいずれか一方の腕が相対的に挙上しづらいことが観察できます。
もし全ての運動行動が効率よい姿勢調整によって予期的にしろ随伴的にしろ裏付けられているのであればこのような現象は起こらないはずです。

昨年このことに関するたとえ話として積み木を積むという課題の例を挙げました。

バンザイで挙げづらい側(固定的な緊張の高い側)の手で1,2個の積み木を積んでもらいます。
当然モデルさんは気楽にさっと乗せてしまいます。
そしてもう一度バンザイをしてもらいます。
予想通り姿勢緊張に変化が起きた様子は認められません。
そして今度は、積み木を数多く積み上げておいて(課題を難しくして)その上に一つだけのせるように要求します。
当然モデルさんは緊張して慎重に遂行します。
そしてもう一度バンザイをしてもらいます。
予想通り挙上は促通されていて姿勢緊張の変化を確認することができます。

そしてこの変化は一過性のものでしばらくすると、席に戻るぐらいの運動を間に挟むだけで、上肢挙上の相対的な関係は元に戻ります。

OT場面ではリーチングの誘導などで1,2個の積み上げから誘導しているはずです。
上記の例から考えるとそれは無駄骨ということになるでしょうか?
そんなことはないですね。

それを証明するために多少手のこんだ実験を引き続き行いました。
今度はモデルの友達にセラピスト役をお願いします。
先のようにまず1,2個の積み木を積むのですが、セラピスト役の友達がその手をハンドリングして誘導します。
そして同じようにバンザイで結果を判定します。
残念ながらやはり多くの場合結果は同じです。

そこで、積み木を積むという課題について考え直してみます。
この課題のテーマは持った物を放す(置く)と言うことのはずです。
手放すという課題は子どもの発達でも重要な位置を占めています。
そして単に指を伸展させて手放すというのは最も原始的な反応です。
そもそも成人で物を把持するという行為はそのものを操作するということと同義です。
持った物体に発生する回転トルクを手掌の中で釣り合わせるという自律的な調整能力が発揮されているはずなのです。
ですから、その状態からその物体をどこかに置くなり、あるいは放り出すにしてもその自律反応は継続していて次の行為との関係において調整が行われています。
積み木を積む場合で言えば、持っている積み木の一端が置くべき面との接触瞬間から手掌内の力のつり合いに接触点との力学的関係が加味されることになります。
私の場合、この課題の操作形態の代表例は面と面を合わせて行くような形と理解しています。

そこで、友人の誘導について、積み木を持たせて積み上げるべき目標にその持ち上げた積み木の底面を、リーチの前段階(プレシェーピングの段階)ではっきりと方向づけるように修正をお願いします。
そして1,2個の積み上げを誘導してもらいます。

結果は緊張して慎重に行った高い積み上げと同じように姿勢緊張の変化として確認することができます。


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