■ 定型パターンについて22018.1.8

上肢課題を例にあげて考えてみます。
1で述べたことを簡略に言い換えると以下のようになります。

健常者の姿勢緊張は、通常一定の偏りを持って保たれている。
しかし、課題遂行の為に運動を組織する必要が生じると、必要な程度においてその偏り(非対称性)は緩和される。

これは経験から導き出した仮説です。

ところで、1月13,14日は山梨の環境適応講習会でした。
デモにモデルとして協力して頂いた方は右片麻痺と運動性失語という問題を抱えた女性(主婦)でした。
例によって幾つかの課題遂行を治療場面に取り入れ検討を行ったのですが、そのなかで掃除機の操作、モップがけ、箒とちりとりの操作も一連の類似課題としてそれぞれ遂行してもらいながら動作内容の修正とそれに伴う身体的な変化を検討しました。
その詳しい内容については割愛しておきます。
この方の右腕は、歩行時に限らず静止した状態でも多少肘が屈曲して引き上がった状態にあります。
つまり姿勢は定型パターンにあるのですから肩甲帯の緊張は亢進して、肩甲骨の胸郭上における位置は挙上外転位にあるはずです。
そして骨盤も右方向に偏倚し胸腰筋膜から腸脛靱帯、足底の外側後方に連なる支持構造への依存も認められました。
環境適応講習会で提案し、検討を加える主要な内容は、課題遂行に必要とされるスキル(熟練技能)を如何にして誘導し不自然な緊張状態から解放するのかと言うことです。
結果は、当然、動作効率が上がり、運動ではよぶんな力みが減少して滑らかになることで確認できます。
この課題遂行場面では可能な限り麻痺手の参加を促しました。
スキルが発揮されている限り、上肢の特性(後で述べるつもりです)からして、それ以上の緊張亢進を認めることはなく、むしろ緩和してくることが分かっているからです。

このデモの結果も私のもくろみに近いところまで達成できたと内心ニンマリしました。
もちろんご本人も喜んでくれたことと思います。

もう一つニンマリしたことがあります。
それは課題遂行中と直後の短時間のうちは麻痺上肢の緊張が緩和して肘が伸び自然に垂らしておけたのにもかかわらず、私が解説のためにながっぱなしをしている内に少しずつ肘の屈曲と引き上げ(もちろん治療開始前とは違います)が起きてきたことです。

つまり片麻痺者の姿勢緊張は具体的な課題遂行という方向があることによって調整が容易になるのだと言えそうだと思ったのです。


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