■ そろそろ仕事始めです2018.1.3

三が日はほとんど何もしないで過ごしました。
唯一したことといえば解剖写真の模写です。
10年以上前、そろそろ本格的に顔面頭頸部の分野に踏み込まねばと思い立って模写を始めたときの写真です。

当時は柏塾の母家部分を建設中で、現在セミナーに使っている訓練棟のみが使用可能でした。
引っ越しを済ませていないので一人で夜遅くまで作業を続けたのですが、まわりが真っ暗な上に裏がお墓なのでシンと静まりかえっています。
気の小さい私はびくびくしながら写真に見入っていました。
そしてそんな状況を忘れかけるぐらいに没頭し始めた頃、なぜか視線を感じて目を移すと、その模写をしている写真の方の目がほとんど閉じているまぶたの隙間から私を見つめていました(そんな気がしただけなんですが)。
私は不謹慎だと思う気持ちの後ろめたさを感じつつ、早々に家へ引き返しました。

その写真です。
もちろん、あれから数えきれないぐらいいろいろな部位を模写させて頂いた方ですから、今の私にとっては旧知の人のように親しみを感じる存在です。

だれきった正月気分に抗い、そろそろ始めなければと思い立った作業が、もう一度あの人の力を借りての引き締め、初心の確認だったと言うことです。

そもそも一昨年からは体性感覚と運動行動の関係に的を移して行く予定でした。それがなかなかはかどらず、うだうだしている内に視知覚系にも踏み込まないと間に合わないと焦りだしたのが昨年の暮れです。
しかし、仕事というのはどんなに焦っても実力以上のスピードでやりこなしていけるわけがないのであって、成り行きにまかせるしかないだろうというのが正月気分の正体だろうと思っています(反省)。

口腔から咽頭、喉頭・・・の機構と運動行動の関係は、当然手強い。
解剖学、生理学、そして関連する資料をつまみ食いした程度では到底自分の領域の視野に読み解いていけるわけがないのであって、一旦脇に置いて仕事の中心を移そうなんて言うのが間違いですね。
直接自分の手で触診し操作できない領域の機能状態を、表面から観察できる僅かな反応形態を頼りに推察して行きながら治療経験を積み上げているのが現状なのだと思います。遠くの山並みに大声で呼びかけ返ってくるこだまにその山陰の起伏を描き出そうとしているようなものです。
今年も色気を出さず、地道に腰をすえて取り組むしかないですね。

それでもちっぽけと笑われるかも知れないですが、昨年はライフワークに進展があったという手応えを掴んでいます。

一つは途中で立ち消えにしてしまった「夢物語」の展開から、課題遂行と日常の生活活動の流れ、日常生活活動における技能と運動スキルや姿勢、運動制御の具体的な関係が輪郭を現してきているように感じています。
この面では自分なりに感動しています。

もう一つは、これまで痛みや身体の過剰固定から解放するための手段として注目していたのはいわゆるインナーマッスルだったのですが、むしろ主動作筋群の方が治療操作に対する反応も早く対象者の苦痛も少ないということが分かって、それなりにノウハウも増やせたと言うことです。

その他には、重箱の隅っこみたいなことで、足底筋が治療操作のポイントに加わりました。足底筋の位置づけはやはり10年来の懸案でしたので胸のつかえが取れたような気分です。
体性感覚では筋骨格系に占める皮膚の力学的作用と知覚器官としての皮膚反応、そして定型パターンとの関連を検討している内に、筋膜の滑走というテーマが加わってきてやはりノウハウが広がりました。
そこから芋づる式に薄筋や縫工筋の機能の一面が見えてきました。

視知覚では輪郭線と遮蔽面、線分を遮蔽縁として考えるのであればゲシュタルトの法則はどのように理解すれば良いのだろう。形態視と運動視を腹側経路と背側経路(並列処理)からのみではなく、これまで行ってきたような視覚的流動と運動制御の関連づけの視点から見直すことはできないだろうか?といった取り留めない課題ばかりがちらついています。

こんな感じで2018年も始まりました。


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